「股関節が変形しているから、もう運動できない」
そう思っていませんか?
変形性股関節症と診断されたとき、多くの方が最初に感じるのは「これからもっと悪くなるかも」という不安です。
レントゲンを見せてもらい、
「ここが狭くなっています」
「軟骨がすり減っています」
「変形があります」
と言われる。
すると、「やっぱり、もう無理か……」と思ってしまいます。
そして、痛みが怖くなり、
「歩かなくなる」
「運動しなくなる」
「外出しなくなる」
「階段を避ける」
「できるだけ座っている」
でも、ここには大きな落とし穴があります。
股関節を守るために動かなくなった結果、身体全体の機能が落ちてしまう可能性があるのです。
運動療法は股関節OAの症状や機能の改善を目的とした重要な非手術的治療の一つです。ACR/Arthritis Foundationのガイドラインでは、股関節OAに対する運動が強く推奨されています。
つまり、「股関節が痛いから、何もしない」ではなく、
「股関節が痛いからこそ、自分にできる運動を探す」という発想が重要なのです。
【昔は普通にできたことが、できなくなるつらさ】
変形性股関節症のつらさは、単純に「股関節が痛い」というだけではありません。
例えば・・・
「朝、ベッドから起き上がる」
「トイレに行く」
「靴下を履く」
「靴を履く」
「車に乗る」
「階段を上る」
「スーパーで買い物をする」
「旅行に行く」
「友人と街を歩く」
「孫と遊ぶ」
こうした、当たり前だった動作が少しずつ大変になっていきます。
最初は、「今日はちょっと痛いからやめておこう」だったものが、
「歩くことはやめておこう」になり、
「旅行はちょっと無理かな」になり、
「外出するのも面倒だな」へ変わっていく。
そして気がついたら、痛みを避けるために、生活そのものが小さくなっている。
これは、本当に苦しいことです。
さらに怖いのが、「このまま歩けなくなったらどうしよう」という不安。
「手術しないと治らないのかな?」
「運動したら余計に悪くなるのでは?」
「変形しているなら、もう元には戻らない」
そんな疑問を抱えている方も少なくありません。
でも、ここで知っておいてほしいことがあります。
「変形があること」と「何もできないこと」は同じではありません。
変形した関節そのものを若い頃の状態に戻す、という話ではありません。
しかし、
「痛みを軽減すること」
「身体機能を高めること」
「歩きやすくすること」
「日常生活を楽にすること」
を目指すことはできます。
そして、そのために運動療法が重要な選択肢になります。複数の診療ガイドラインをまとめたレビューでも、変形性関節症の基本的な管理として、運動療法、患者教育、必要に応じた体重管理が一貫して推奨されています。
だから、「もう歳だから仕方ない」と、最初から諦めなくてもいいのです。
【なぜ変形性股関節症になるの?】
変形性股関節症は、股関節を構成する関節軟骨などに変化が起こり、痛みやこわばり、動かしにくさなどにつながる疾患です。
原因は一つではありません。
年齢による変化だけでなく、
「股関節の形態的な特徴」
「臼蓋形成不全などの背景」
「過去の股関節の病気やケガ」
「体重」
「筋力や身体機能」
「活動量」
「長年の身体への負荷」
など、さまざまな要因が関係します。
日本では、股関節の形成に関する背景が変形性股関節症に関係するケースもあります。
つまり、「運動不足だから股関節が悪くなった」と単純に決めつけることも、
「年齢だから仕方ない」と諦めることも適切ではありません。
-「股関節が痛い=股関節だけが悪い」とは限らない-
ここは、今回の記事で特に伝えたいポイントです。
例えば、「股関節が動きにくい」➡「身体を動かすときに別の関節が補う」➡「腰や膝などに負担が集中する」➡「歩き方が変わる」➡「さらに身体の使い方が変わっていく」
ということがあります。
逆に、
「体幹が安定しない」
「お尻の筋力が低下している」
「足首が動きにくい」
「姿勢が崩れている」
といった状態があると、歩行や立ち座りなどの動作で身体全体の負担配分が変化する可能性があります。
だからこそ、「股関節が痛いから股関節だけを見る」ではなく、
「身体全体として、どのように動いているのか?」を見ることが大切です。
-体重も無視できない-
もう一つ、重要なのが体重です。
過体重・肥満がある場合、股関節OAでは減量が推奨されています。
ACR/Arthritis Foundationのガイドラインでは、過体重・肥満を伴う股関節・膝OAに対して減量を強く推奨しており、体重減少量が増えるほど症状や機能面でのメリットが大きくなる傾向が示されています。さらに、減量は運動と組み合わせることで効果が高まるとされています。
ただし「体重を落とせば股関節が全部治る」という話ではありません。
大切なのは・・・
「食事を整える」
「必要な筋肉を維持する」
「無理なく身体を動かす」
「長く続けられる生活習慣にする」
ということです。
【変形性股関節症NG行動3選】
ここからが本題です。
変形性股関節症の方が、「良かれと思ってやってしまいがちなNG行動」を3つ紹介します。
NG行動01|痛いから、できるだけ歩かない・動かない
これは最も注意してほしい行動の一つです。
「歩くと痛い」➡「歩かないほうがいい」➡「外出しない」➡「身体を動かさない」という流れ。
もちろん、痛みが強いときに無理をする必要はありません。
しかし、長期間にわたって身体活動を極端に減らすことは、必ずしも股関節のためになりません。
運動療法は股関節OAに対して強く推奨されており、歩行、筋力トレーニング、神経筋トレーニング、水中運動など、さまざまな方法が選択肢になります。特定の一つの運動だけが絶対に優れているというわけではなく、本人の状態や好みに合わせることが重要です。
つまり、「痛いから運動禁止」ではありません。
大切なのは、「今の自分の股関節で、できる運動は何か?」を見つけることです。
例えば、
「長く歩くと痛い」でも、短時間なら歩ける。
「水中なら動ける」椅子に座ってできる運動ならできる。
「上半身の運動ならできる」「軽い筋力トレーニングならできる」という場合もあります。
「できないこと」だけを見てしまうと、何もできないように感じます。
でも、「できること」を探すと、選択肢は意外と残っています。
NG行動02|痛みを我慢して、無理なストレッチをする
次に注意したいのが、自己流のストレッチのやりすぎです。
「股関節が硬いから痛い」と思って、脚を大きく開く。
「股関節を強くひねる」「痛いところまで脚を引っ張る」「開脚を何度も繰り返す」
そんなストレッチをしていませんか?
もちろん、股関節の可動性を適切に保つことは重要です。
しかし、「硬いから、とにかく伸ばせばいい」というわけではありません。
特に、「痛いけど効いている感じがする」という状態で無理に続けるのはおすすめできません。
変形性股関節症の人では、
「どの方向に動かしにくいのか」
「どの動作で痛いのか」
「どの範囲なら動かせるのか」
「左右差はあるのか」
などを確認する必要があります。
例えば、「脚を内側に動かすと痛い」人と、「脚を外側に開くと痛い」人では、同じ「股関節が硬い」という言葉でも状態は違います。
だから、「股関節が痛い=ストレッチ」ではありません。
重要なのは、「何を伸ばすか」より、「なぜその動きが必要なのか」を考えることです。
NG行動03|股関節だけを鍛えればいいと思う
3つ目は、股関節だけを見ることです。
変形性股関節症と診断されると、「股関節周りの筋肉を鍛えればいい」と考える方がいます。
もちろん、お尻や股関節周辺の筋力を高めることは重要です。
しかし、股関節だけを鍛えればすべて解決するわけではありません。
例えば、
●体幹
●骨盤
●股関節
●膝
●足首
は、歩行や立ち上がりなどの動作で連動しています。
例えば、椅子から立つ動作。
股関節だけではありません。
●足の位置
●膝の動き
●骨盤の動き
●体幹の前傾
●お尻や太ももの筋力
こうした要素が組み合わさって、一つの動作になります。
だから、「股関節が痛いから、股関節だけ鍛える」という発想から、
「股関節に負担が集中しないよう、身体全体を整える」という発想に変えることが大切です。
【変形性股関節症の対策】
では、変形性股関節症の人は何をすればいい?
ここまで読んで、「じゃあ結局、何をすればいいの?」と思った方も多いでしょう。
大切なのは、「動く・鍛える・整える」この3つです。
対策01|自分にできる運動を見つける
まず、運動=激しい筋トレという考え方を捨ててください。
股関節OAに対する運動には、
●ウォーキング
●筋力トレーニング
●有酸素運動
●神経筋トレーニング
●水中運動
など、さまざまな選択肢があります。ACR/Arthritis Foundationのガイドラインでも、股関節OAに対して幅広い運動が推奨されています。
重要なのは、「どの運動が一番正しいか」ではなく、「自分が安全に続けられる運動は何か」です。
例えば、
「歩くと痛いなら水中運動」
「長時間歩けないなら短時間の歩行」
「立位が難しいなら座位での運動」
「筋力が落ちているなら軽い抵抗運動」
というように、「できる形に変える」ことができます。
対策02|お尻・太もも・体幹をバランスよく鍛える
股関節を守るために重要なのは、股関節だけではありません。
●お尻
●太もも
●体幹
これらも身体を動かすうえで重要な役割を持っています。
特に、「立つ」「歩く」「階段を上る」「椅子から立つ」といった動作では、股関節周囲の筋肉だけでなく、身体全体の協調が必要です。
そのため、「股関節に負担が集中しない身体」を目指していきます。
ここで大切なのは、いきなり重い重量を持たないこと。
「筋肉をつけたい!」と焦る必要もありません。
まずは、正しい動作を身につける。
そして、「少しずつ負荷を上げる」これが基本です。
対策03|股関節だけでなく、膝・足首・体幹も確認する
「股関節が痛い」だからといって、股関節だけを見て終わらせない。
例えば、「足首が動きにくい」➡「歩き方が変わる」➡「膝や股関節への負担が変わる」ということがあります。
また、「体幹が安定しない」➡「歩行時の身体の揺れが大きくなる」➡「下肢の動作が変わる」ということもあります。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。
だからこそ、「自分の場合はどうなのか?」を確認することが重要です。
対策04|体重が気になる場合は、無理なく減量する
もし体重が増えている場合は、体重管理も大切な選択肢です。
ガイドラインでは、過体重・肥満を伴う股関節OAに対して減量が強く推奨されています。さらに、減量によるメリットは、運動と組み合わせることで高まりやすいとされています。
ただし、「食事を極端に減らす」必要はありません。
むしろ、筋肉まで落としてしまえば、身体を支える力が低下する可能性があります。
大切なのは、脂肪を減らしながら、必要な筋肉を維持すること。
そのためには・・・
「適切な食事」
「十分なタンパク質」
「無理のない運動」
「継続できる生活習慣」
を組み合わせることが重要です。
対策05|「痛みがなくなるまで何もしない」から卒業する
変形性股関節症の方に伝えたいのは、「痛みがゼロになるまで、何もできない」わけではないということです。
もちろん、強い痛みがあるときは無理をしてはいけません。
でも、「痛みがあるから全部やめる」ではなく、
「痛みがあってもできることを探す」ことが重要です。
そして、「できるようになったら少し増やす」「またできるようになったら少し増やす」この積み重ねです。
【自分に合った運動が分からないなら、悩まないでください】
ここまで読んで、
「運動が大切なのは分かった」
「でも、何をすればいいの?」
「スクワットをすると股関節が痛い」
「歩くと痛いけど、運動したほうがいいの?」
「自分の身体のどこが悪いのか分からない」
そんな方も多いと思います。
実は、「運動してください」と言われるだけでは、困ってしまいますよね。
「どんな運動?」
「何回?」
「どのくらいの強さ?」
「痛みが出たら中止?」
「どこまでならやっていい?」
ここが分からないから、自己流になってしまう。
そして、「やってみたけど痛い」➡「やっぱり運動は無理」となってしまう。
でも、本当に必要なのは、「運動するか、しないか」ではなく、
「今の自分に合った運動をどう選ぶか」です。
Progress Private gym羽曳野店では、単に「筋肉を鍛える」だけではなく、姿勢・柔軟性・筋力・動作などを確認しながら、一人ひとりの身体に合わせたトレーニングを考えることを大切にしています。
特に・・・
「運動初心者」
「股関節が痛くて運動から遠ざかっている」
「何をすればいいのか分からない」
「自己流で運動して痛くなった」
という方こそ、いきなり頑張るのではなく、まず自分の身体を知ることから始めてみてください。
変形性股関節症では、「痛い場所だけを見る」のではなく、「身体全体を見る」ことが重要です。
「もう歳だから……」
「変形しているから……」
「痛いから運動できない……」
と諦める前に、一度、自分の身体の状態を確認してみませんか?
「できないこと」を増やすのではなく、「できること」を一つずつ増やしていく。
そのための一歩を、一緒に見つけていきましょう。
【必要に応じて整形外科を受診しましょう】
最後に、とても大切なことがあります。
股関節が痛いからといって、すべてを自己判断で運動していいわけではありません。
特に、
・股関節の痛みが強くなっている
・歩くことが難しいほど痛い
・急に強い痛みが出た
・転倒や外傷のあとから痛くなった
・股関節周辺が腫れている、赤くなっている
・発熱を伴っている
・安静にしていても強い痛みが続く
・夜間も強い痛みが続く
・急激に股関節の動きが悪くなった
・痛みが長期間改善しない
といった場合は、
自己判断でトレーニングを続けず、整形外科などの医療機関を受診してください。
また、「変形性股関節症かもしれない」と思っているだけで、まだ診断を受けていない方も、一度医療機関で状態を確認することをおすすめします。
変形性股関節症の治療には、運動療法だけではなく、薬物療法や注射、補助具、そして症状や進行度によっては手術など、さまざまな選択肢があります。
AAOSの2023年更新ガイドラインでも、股関節OAに対する非手術的治療について複数のエビデンスに基づく推奨が示されており、症状や状態に応じた治療選択が重要とされています。
だからこそ、「痛いけど我慢する」でもなく、「痛いから全部動かさない」
でもなく、「一度、自分の状態を正確に知る」ことから始めてください。
最後に・・・
股関節が痛くなると、「この先どうなるんだろう」と不安になります。
今まで普通にできていた、
「歩く」
「階段を上る」
「靴下を履く」
「車に乗る」
「旅行する」
「買い物に行く」
そんな何気ない日常が、少しずつ「できないこと」に変わっていく。
だからこそ、「もう歳だから仕方ない」で終わらせてほしくありません。
変形そのものを簡単に元へ戻せるわけではありません。
でも、「今より動きやすくする」「痛みにくい身体を目指す」「日常生活でできることを増やす」
そのためにできることはあります。
そして、その第一歩は、「痛いから何もしない」から卒業すること。
ただし、無理をすることでもありません。
「自分の身体の状態を知る」
「できる運動を選ぶ」
「少しずつ負荷を上げる」
「必要なら医療機関に相談する」
そして、「自分の身体と上手に付き合う方法」を身につける。
これが大切です。
「自分の股関節には何が合っているのか分からない」「運動したいけれど、痛みが怖い」「自己流ではなく、自分の身体を見てもらいたい」
という方は、まずは一度、自分の身体を知るところから始めてみてください。
股関節だけを見るのではなく、身体全体を見る。
痛みだけを見るのではなく、なぜ負担がかかっているのかを見る。
そして、「もうできない」を増やすのではなく、「まだできる」を増やしていく。
それが、これからも自分らしく歩き続けるための第一歩です。
「一瞬ではなく、一生のカラダをつくる。」
そのために、今日できる小さな一歩から始めてみませんか?
股関節の痛みや違和感でお悩みの方は、Progress Private gym羽曳野店へお気軽にご相談ください。
一瞬ではなく一生のカラダをつくる
– Progress Private gym羽曳野店 –
Progress Private gym羽曳野店は、お一人おひとりの目的に合わせた完全マンツーマンのトレーニングをご提供するパーソナルジムです。
経験豊富なトレーナーが、お客さまの体力やライフスタイルに合わせて無理のないプログラムを作成し、理想のボディメイクや健康維持を全力でサポートいたします。
運動が初めての方から本格的に身体を鍛えたい方まで幅広く対応し、正しいフォームや効果的な食事のアドバイスも行います。
Progress Private gym羽曳野店は、皆さまの「変わりたい」を実現する場所として、安心と信頼のサービスをお届けいたします。
【参考文献・根拠として使用した主な資料】
・AAOS「Clinical Practice Guideline on the Management of Osteoarthritis of the Hip」:2023年公開の股関節OA診療ガイドライン。
・Kolasinski JL, et al. 2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee.:股関節OAに対する運動、過体重・肥満がある場合の減量などを推奨。Conley B, et al. Core Recommendations for Osteoarthritis Care: A Systematic Review of Clinical Practice Guidelines.:複数のガイドラインを比較し、運動、教育、必要に応じた体重管理をOAの中核的管理として整理。

